女ひとり 定年退職後の日々の暮らし

いつか行ってみたかった場所、いつかやってみたかったこと。その「いつか」が「いま」となり、実行に移す日々を綴ったもの。

退職して思うこと(9)~ 海外での休日の過ごし方

欧米のオフィスは、午後5時を過ぎると誰もいません。スコットランドの工場でも、金曜日ともなると、午後3時ごろから、ゲートに向かって帰宅する車列ができました。日本では毎日、会社のカフェテリアで夕食をとってから、夜8時ごろまで残業するのが習慣でした。


ここでの滞在中にすっかり、午前中から効率のよい時間の使い方を心がけるようになりました。


緯度が高いスコットランドは、夏季は午後10時ごろまで明るいので、退社後もたっぷり遊ぶことができます。工場の裏山の牧場をハイキングしたり、現地での運転に慣れてからは、金曜日に会社を出て、泊りがけでハイランド地方にドライブ旅行するようになりました。

定番はやっぱり、ネス湖です。現地のゲール語でロッホ・ネスと言います(Loch=湖, Ness)。高速道路 M90 を北上して、ネス湖のほとりの町、インヴァネスの B&Bに一泊して、湖を抜けた先にある グレン・コー(Glencoe)を廻って戻ってくるのがお決まりのコースでした。途中、ウイスキーの蒸留所を訪ねたり、あちこちに残る古城にも立ち寄りました。スコットランドのモルトウイスキーには、グレン・フェディックなど、グレンと名の付くものが多数ありますが、Glen=「峡谷」という意味です。


「嘆きの谷」という意味のグレン・コーは、スコットランドで最も美しいと言われる渓谷です。後に、映画「007 スカイフォール」のロケ地となりました。ジェームス・ボンドの故郷としてクライマックスを盛り上げています。



散策していると、雨に降られることもしばしばでした。英国は雲の流れが速くて天候がくるくる変わります。一日のなかでも、快晴と雨天が混在します。雨はすぐに止みますから、たいていの場合、レインコートで事足ります。こうして日本に戻ってからも、しばらくは、傘を持たないことが続きました。


高速道路はどこまで行っても無料で、渋滞もほとんどありません。交差点はラウンドアバウトという右回りの円形リングになっていて、信号で止められることもなくスムーズです。遠出すると、いつのまにか、一日に400Kmぐらいドライブしています。


出張の滞在費は、月一回まとめて日本の所属部門に申請しますが、金曜日にガソリンを満タンにした伝票があるにもかかわらず、週末にも再び、満タンにした伝票が入っていることもよくありました。そんなときも、上司は黙って承認印を押してくれました。


この後の会社員生活を通じても、仕事さえ、ちゃんとこなしていれば、上司にも同僚にも、細かいことをゴチャゴチャ言われることはありませんでした。外資系企業の一番の良さだと実感します。


(Loch Ness & Urquhart Castle)